本記事では水害車、冠水車、水没車の自動車流通について解説します。
車が水害等に遭われた方、遭っている方、車に興味がある方は、この記事で水害車に関する実態を少し知ることができます。
車買取で10年のキャリアと約2,500台を査定してきた経験からお伝えします。
1. 水没車の定義
・水没したらまず保険会社に連絡
・処分はお任せしない。専門業者に売りましょう。
2. 水没車は仕上げられ、自動車オークションで高値で取引される
・オークション出品までの工程
・コストと利益は見合うのか
・実際にはどれくらいの価格で取引されている?
1. 水没車の定義
「水没車」は「冠水車」「水害車」と呼ばれることもありますが、いずれも意味は同じです。
私達中古車事業者が加盟している一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)によると、「水没車」とは「室内フロア以上に浸水した車、または浸水の痕跡が複数確認できる車」と定義されています。
つまりアクセルペダルなどが並ぶ「フロア(床)」が水に浸ったところから、「水没車」となります。
そこから水位が上がるごとに車両としてのリスクが上がり、車の価値も下がっていきます。
水没したらまずは保険会社に連絡
車が水害に遭ったらまずは加入している保険会社に連絡して指示を仰いでください。
水位が微妙であっても、水害は後々見えないダメージが表面化する場合があります。
処分はお任せしない。専門の業者に売りましょう。
後の章で出てきますが、完全な水害車でも専門業者によって綺麗に仕上げられ、高値で海外に流通されています。
自分では価値がないと思う様な車両でも、必要としている国や人々が存在します。
大事に乗ってきた車だからこそ、最後までしっかりと処分することが大切です。
カービュー事故車査定は水害車における海外輸出専門の業者が無料で査定をしてくれるのでお勧めです。
2. 水没車は綺麗に仕上げられ、自動車オークションで高値で取引される
オークション出品までの工程
価値の低い車は現状のまま解体やオークションで処分をされ、価値の高い輸入車や高級車については徹底的に綺麗に仕上げられてからオークションに出品されます。
まずは内装で外せるものは全て外して洗浄します。
その後エンジンルームやトランクルームを高圧洗浄機で洗います。
そしてドアを開けっぱなしにして湿気を抜きます。その期間は約1ヶ月程度!(天日干し)
乾いたら消臭剤を吹いて、内張を新品に交換したら完成となります。
中でも特に重要なのは乾かすという作業で、徹底的にやらないと必ず臭いや水滴が出てきてしまいます。
しかし実際にここまで手をかけて元は取れるのでしょうか?
コストと利益は見合うのか
1ヶ月以上も時間と労力をかけたコストに対するリターンはどのくらいなのでしょうか。
労力を考えたら妥当な利益な利益とも言えますが、その様な車両は特に高年式の一部の車両に限られます。
買取店もリターンが見込める車なのかは慎重に見定めてから、仕上げているのです。
実際にはどれくらいの価格で取引されている?
業者はオークションに出品する際、どれだけ車が綺麗になっていても必ず「冠水歴あり」と表記をして出品します。
これは無申告がばれた時のペナルティが高額なことに加、その後もオークション会場からマークされ仕事がやりづらくなるという理由からです。
では実際に綺麗になった水害歴ありの車が、水害歴のない車に比べどのくらいの価格で売れているのか公開します。
車名 | 一般相場 | 冠水歴あり | 割合 |
ステップワゴンスパーダ | 178万円 | 143万円 | 80% |
ジェイドハイブリッド | 209万円 | 127万円 | 61% |
ステップワゴンスパーダ | 261万円 | 142万円 | 54% |
エクストレイルHV | 233万円 | 114万円 | 49% |
CX-5 | 230万円 | 113万円 | 49% |
ステップワゴン | 121万円 | 101万円 | 83% |
タントカスタム | 156万円 | 132万円 | 85% |
ヴェルファイア | 128万円 | 105万円 | 82% |
レクサスLX | 688万円 | 566万円 | 82% |
あくまで高く売れている一例ですが、その後に深刻なダメージを残す様な水害に遭った車も綺麗になれば本来の価値の50%〜85%で取引がされています。
逆に低年式の車はそのまま解体になる可能性が高くなります。
水害車の査定は専門業者であるカービュー事故車査定がお勧めです。
3. 水害車はどこへ行くのか
ではこの高値で買われた冠水歴のある車はどこに行くのでしょうか。
日本では殆ど流通されていません。
あまり価格が変わらないのに冠水歴のある車両を買うユーザーはいませんからね。
その為殆どの車両が海外に輸出されています。
海外では「冠水車」と書かれたオークションの出品票やマークのことを”高品質”という、全く逆の意味で理解しているユーザーもいると言われています。
なぜ故障リスクの高い水害車がきちんと申告された正規の流通の結果高く売れるのか、その裏にはこの様な海外での販売事情が絡んでいました。
水害車のリスク
水害車で起こりうるリスクとしては、
- エンジンをかけると突然エアバッグが開いた
- ミッションやブレーキに不具合が出た
- ハイブリッドの場合出火した
などがあります。
色々と長期化するリスクを抱えているので、日本で乗る場合は基本的に購入は控えた方が良さそうです。
しかし水没車とは知らずに車に乗っているユーザーが、世界のどこかに今もいるという事実は自動車流通に関わるものとして、忘れないでいたいですね。
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